おもひあつめ

たまたま乗り合わせた高校生の女の子モコちゃんと、よぼよぼのおばあさんと3人でレトロなバスに揺られていたら、
外がだんだん暗くなって来てすごい嵐になり、生け垣や白い柵が飛んでいって緑の芝生がなびいている。あまりのすごさに3人で「困ったね」などと話しているとほどなく、
モコちゃんは「着いたから」とひとり降りて行った。
そうこうしている間も風はどんどん強くなり、どうしよう…と思っていると
運転手さんが「これ風速の画面見てますけど、24ある停留所の中で今この左の降り口が一番風が弱いから、ここで降りた方がいいですねぇ」と。
仕方がないので、そのおばあさんとすぐ降りることに。
降りた際にモコちゃんが気になって振り返ると、道の反対側に、左腕を顔の前にして風に向かいながら歩く姿が見えた。
「モコちゃーーんっ!」大声で叫んだがモコちゃんには届かず。。
でも家は傍だと言っていたから大丈夫かなぁと思うと、今度は自分たちが不安になってきた。
おばあさんに「どこかあてはありますか?」と聞いたら「うちの別宅がちょっと先にあるからそこに行きましょう」と。

肩を支えながら付いて行くとシャッターの下りている建物が見えた。

だがそこには怪しい雰囲気の、ベージュのハンチングに深緑色のジャンパーを着た小さなおじさんが様子を伺っている。
私はどろぼうだ!と思い、後ろからそっと忍び寄って羽交い絞めにして捕まえた。おばあさんは爆笑しながら「息子よ」そう言うと、急にしゃっきりしてシャッターを勢いよく開けた。

そこは可愛く素敵なお総菜屋さんだった。

外国(カナダかシカゴ郊外)の雰囲気の、オープンキッチンに整然と並べられたガラス瓶やトマト缶などがとてもカラフルで素敵で、OKをもらって写真を撮っていると、そこに近所の常連のおばさまがやって来た。
「ここのおばさんのお料理は絶品なのよ。家に一人は不安だし、ここには食材もたくさんあるだろうから、お店が開いたのを見て避難して来たわ(笑)」
するとおばあさんは白いエプロンドレスをひゃっと纏いながら
「じゃあ何か作りましょうか!」
満面の笑みでそう言って目配せすると、その息子さんもコックのようで、でもおばあさんには頭が上がらないといった感じで準備を始め...


そこで目が覚めました!(笑)

※ 画像のミツバツツジの花言葉は“平和”。
夕方に訪れるブルーモーメントは、ミツバツツジ自ら世界の平和を願うように、赤紫色の花がぼわっと光を放って見えます。。

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